医療コラム
多発性硬化症の現状
meguro
新年あけましておめでとうございます!
もう、年が明けて一週間経ちましたね。
今日は7日なので七草粥で胃腸を休めて一年の無病息災を祈りましょう。
今日は、多発性硬化症について紹介したいと思います。
この疾患は近年若年層に増加傾向にあり、新潟大学脳研究所神経内科によればアジアに多い「視神経脊髄型多発性硬化症」よりも「通常型多発性硬化症」が日本で極めて増加していることがわかりました。
将来は日本でも欧米と同様に若年層の多発性硬化症がありふれた疾患になる可能性が高いと推測されています。
多発性硬化症とは中枢神経系の脱髄疾患の一つで、簡単に言うと神経の線を覆っている髄鞘がやぶれて神経がむき出しになっている状態を言います。
こういった炎症性脱髄が起こる「自己免疫疾患」と言われています。
大脳や脊髄、視神経などの神経線維に炎症が起こり、神経部位によって視力・感覚・運動・平衡・排尿などの障害が表れます。
疾患のタイプは2つに分けられ、「再発寛解型」と「二次進行型」があります。
「再発寛解型」は日本に多く再発と寛解※ⅰを繰り返し、「二次進行型」は再発を繰り返した後に慢性的に症状が悪化してしまいます。
治療法は急性期※ⅱにステロイドパルス療法※ⅲで炎症を抑えて、その後、再発・進行の予防の治療はインターフェロンで免疫バランスを調整します。
この治療を続けるには痛みを伴う注射剤をしなくてはいけないので、自ら注射する患者は苦痛であると言えます。
しかし、2010年9月にアメリカで多発性硬化症の再発予防対応の初の経口薬「フェンゴリモド」が承認されました。
この薬は免疫作用のあるもので、アメリカの臨床試験の結果で1年間の再発率が52%減少したことがわかりました。
日本でも早く認証され、患者のもとに届くことを期待したいと思います。
※ⅱ急性期:病気のなり始め、比較的激しい時期.
※ⅲステロイドパルス療法:1グラムのステロイドを3日間連続で点滴することを1クールとして疾患によって1~3クール行う治療法.