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突発性正常圧水頭症について

meguro

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写真のA・B・Cは突発性正常圧水頭症、Dはアルツハイマー症のMRI

今日は「突発性正常圧水頭症」iNPH について紹介したいと思います。この疾患はクモ膜下出血、髄膜炎などの疾患が先に症状に出ず、歩行障害を主として認知症、尿失禁などの症状が現れます。髄液循環障害で引き起こされる脳室拡大を伴う疾患です。中高齢者に多くみられ、症状はゆっくり進行します。適切なシャント術によって症状改善が得られる可能性があります。

この疾患は高齢者に非特異的であるため、診断が必ずしも容易でなく、見過ごされてしまう例も多々あります。しかし、同じ認知症の症状であったとしても、アルツハイマー病と鑑別する決め手は「歩行障害」にあります。この疾患の最大の特徴は、最初に歩行障害が出やすいところです。足が開き気味で歩幅もせまく、すり足になり、Uターンの際は不安定で転倒することもあります。また、突発性正常圧水頭症が原因となって転倒し、足を骨折してしまう可能性があるとも危惧されています。

上記のように、歩行障害が著しく、認知症の症状がある場合はシャント術という治療法があります。シャント術とは、症状を出してしまう余分な髄液量を生理的範囲で他の体腔に流すものを「シャントチューブ」といい、シャントチューブを体に埋設する手術をいいます。この手術には3種類の方法がありますが、水頭症では「腰椎-腹腔シャント」という腰椎くも膜下腔から腹腔へ髄液を導く方法で手術します。

突発性正常圧水頭症は発生率から見れば低く、罹患の少ないものですが、周りのちょっとした気が付きによって回復できる疾患です。罹患患者の多くの方が早期発見することを願います。

担当: 目黒

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