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医療報道による影響

meguro

この記事は1年以上前に書かれたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。

医療報道によってどのような影響や問題、課題があるかについて述べたいと思います。
今回は記憶に新しい医療報道を例に紹介します。
2010年の10月15日に朝日新聞で報道された「東大医科学研究所におけるペプチドワクチンの臨床試験」についてです。
報道内容は以下のようになります。

東京大学医科学研究所(東京都港区)が開発したがんペプチドワクチンの臨床試験をめぐり、医科研付属病院で2008年、被験者に起きた消化管出血が「重篤な有害事象」と院内で報告されたのに、医科研が同種のペプチドを提供する他の病院に知らせていなかったことがわかった。
医科研病院は消化管出血の恐れのある患者を被験者から外したが、他施設の被験者は知らされていなかった。
(朝日新聞引用)

http://www.asahi.com/health/news/TKY201010140469.html

この報道の何が問題かというと、「出血がワクチン投与とは関係なく、疾患の経過の中で自然と起こりうる事象」という事実を読者に伝えていないという点です。
この記事を読んで、ワクチンの投与により消化管出血を伴う重篤な副作用が引き起こされると誤解を招いてもおかしくはありません。
また、”他施設の被験者には伝えられていなかった”という内容に関しても、他の大学病院との臨床研究とは、ワクチンの種類や、投与回数が異なっていて、共同臨床実験ではないため、他の臨床試験機関への法的・倫理的報告義務を負わないことになっています。

今回の報道では、東大医科研病院と59大学を中心としたがんペプチドワクチン臨床研究ネットワークが関係しています。
東大医科研病院のみネットワークに加わらず、独自に臨床研究を進めていました。
それだけでも関連性があるのですが、両方のグループで、がんワクチンの製造の費用を医科研ヒトゲノム解析センター長の中村教授がサポートしていたことで誤解が生じたと考えられます。

医療報道に関して、マスコミは中立かつ、正確な情報を発信すべきであるのに、間違った情報で偏った意見を書いては医療関係者が不信感を抱くのは当たり前と言えます。
日経メディカルでは、”メディアが健康や医学をテーマとして扱う際、視聴者や読者の目を引くために治療効果を過度に伝えたり、誤解を招く表現を用いるケースがある”という指摘もありました。
医療報道は人の命が関わる重要な情報です。
勝手な解釈での情報で患者や周りへの影響は多大なものになることを考慮するべきだと思われます。

担当: 目黒

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