もちろん、単純な問題であれば、貪欲法 (その場その場で最も効果の高い行動を選択するというアルゴリズム) で最適解、あるいはそれに近い結果を得ることができる場合が殆どです。
一方、私たちが実際に直面する問題はそれほど単純ではありません。
複数の要素が複雑に絡み合い、環境が刻々と変換していく現実の世界では、同じコストをかけても、それがもたらす結果が常に同じではないからです。
(有価証券取引などを考えてみてください。)
そのため、「いまできること」であっても、少し待ってからやった方がトータルでの効率が良くなる、というような状況が身の回りにはたくさんあります。
思考・考察
自分を諌める
beko

こうした言葉は周囲を鼓舞し、士気を高めるために使われることが多いのではないでしょうか。
しかし、こうした「前向きな」スタンスはときとして、敢えて「何かをしないこと」も決断・選択のひとつであることを忘れさせてしまうことがあります。
問題を抱えている人は、それが深刻なものであるほど、「何かしなければ」という気持ちに駆られるもの。
私自身も経験があるのですが、何か行動を起こしている間は、意識がそちらに集中するため、差し当たり不安な気持ちから逃れることができます。
これに対し、行動を起こさず「待ち」の状態を維持することは、「何かしなくていいのか?」という不安に耐え続けることであり、慣れないうちは (そうそう慣れるものではありませんが……) 精神的に非常に大きな負担となります。
そんなとき、例えそれが、最終的に好ましくない結果をもたらすものであっても、私たちは「いまできることをやる」方向に走ってしまいがちです。
こうした「いまできること」の誘惑に打ち克つにはどうすればよいのでしょうか。
不安を抑えて、冷えた頭で考えればよい……のですが、これがなかなかに難しいんですよね。
成田 (チェスが下手)