そもそも、日本の産業・経済というのは既に発達しきっているのではないでしょうか。
生産力は既に過剰で、そこに住むことのできる人間が生きていくのに必要な量を遥かに上回っています。
この状況において、さらに経済を活発にしようと製造や消費を増大させようとしても、上手くいくはずがありません。
身体のできあがった成人が、さらに身長を伸ばそうとしてドカ食いしたところで、肥満になるか、体調を崩すのがオチです。
思考・考察
不景気?
beko
また、インターネットをはじめとした情報技術の発達によって起きている、生活スタイルや嗜好の多様化も無視できない要因です。
それ以前の社会では消費者の嗜好のばらつきが (現在と比較して) 少なかったため、供給側は、大多数に好まれるモノをこぞって造っていました。
つまり、レートの高い「メジャ」なターゲットを狙うのが最も効率の良い商売だったわけです。
しかし現在では、あらゆる消費の嗜好が多様化し、消費者の層が分散してしまったため、すべてのターゲットが相対的に「マイナ」になってしまいました。
いまや、「これさえ作れば万人に売れる」というメガヒット商品を開発するのは非常に困難です。
従って、これからの「商売」は、群集としての消費者ではなく、自分たちが提供する商品を理解・支持してくれる個々の顧客を念頭において行うのが原則になるでしょう。
もちろん、それは経済成長期のような「どんどん作れば、どんどん売れる」といった華々しいものではありません。
しかし、それこそが真に「豊かな生活」を支える経済の在り方なのではないか、と私は考えています。
成田 (エセ経済学者)