日常・その他
全てのエンジニアに捧げる最高に美味いコーヒーの抽出レシピ
Junichi Fujinuma
藤沼です。寝る間も惜しんでキーボードを叩き続けるエンジニアにとって血液のようなものと言えば、コーヒーですよね。今この記事を読んでいるあなたの傍らにも、きっとコーヒーが置かれていることでしょう。
さて、世界最高のアスリートがトレーニングだけでなく良質な食生活を心掛けているように、世界最高のエンジニアになりたければ技術習得だけでなく良質なカフェイン摂取にも常日頃から本気でなければなりません。良質なコードは良質なカフェインから生まれる。そう言っても過言ではないでしょう。
このブログでも何度か触れたように弊社Eyes, JAPANには「カフェインバー」と呼ばれるコーナーがあります。常に新鮮なコーヒー豆を取り揃えており、ハンドドリップ, フレンチプレス, エアロプレスなど好きな方法でコーヒーを抽出し、カフェインを摂取することが出来ます。
また、通称「インスタントコーヒー禁止条例」とよばれるルールがあり、インスタントコーヒーをオフィスに持ち込むことは、プログラムに故意にバグを仕込むのと同じくらいの冒涜行為とされています。(半分冗談で半分本当です。)
ところであなたは、“美味しく”コーヒーを淹れる事ができますか?
美味しいコーヒーを淹れることができれば、まわりの人に勧めることで会話のきっかけにもなります。もしかしたら、そこから仕事の話につながるかもしれません。
挨拶や打ち合わせでお客様をもてなす際にお出しするコーヒーも、美味しいほうが絶対に良いですよね。言葉よりも先に、コーヒーで会話しましょう。
この記事では、私が普段コーヒーを抽出する際のレシピをご紹介します。コーヒーの世界は奥深く淹れ方は人それぞれであり、私もただの素人に過ぎません。「これだけが正解」というものはありませんが、一つの参考になれば幸いです。記事に登場する写真の撮影場所はすべて自宅ですが、オフィスでも基本的には同じ様に淹れています。
1: 豆を準備する
今回使用する豆は最近ウェブサイトをリニューアルされた『FLATWHITE COFFEE FACTORY』さんの「ハイストリートブレンド」。フラットホワイトコーヒーファクトリーは福島・宮城を中心にカフェを展開されており、通販での豆販売も手掛けていらっしゃるスペシャルティコーヒー・ロースターです。
エチオピア, グアテマラ, ブラジル, コスタリカなどの定番とも言えるbeansはもちろんのこと、珍しいシングルオリジンや、こだわりの詰まったブレンドも数多く扱っており、どれも一級品です。コーヒーが苦手な方も、きっと好みに合うパートナー(豆)を見つけられる筈です。ぜひショッピングサイトのほうも覗いてみてください。
ちなみに豆はなるべく新鮮なもの(=焙煎したてのもの)を、挽かずに豆のまま購入しましょう。挽いてしまうと風味が失われやすくなるほか、豆の内部に含まれるガスが抜けることで抽出時に膨らみにくくなってしまいます。
なお、コーヒー豆の飲み頃は一般的に焙煎2, 3日後〜1か月以内とされています。品質にこだわるのであれば「賞味期限」ではなく「焙煎日」を明記している(あるいは答えてくれる)ロースターを選ぶと良いと思います。(一方でエイジングなどの考えを取り入れていらっしゃるロースターもいらっしゃいますので、一概にどれがベストとは言い切れないのですが。)
2: 豆を計量する
私の場合は「コーヒー1杯(180ml)あたり、15gの豆」を基準にしています。今回は2杯分(360ml)抽出しますので30g使います。この「豆と湯量の割合」は人それぞれであるほか、豆の種類や焙煎度、そして抽出方法によっても変わってきますので、色々と割合を変えて自分なりの基準を探ると良いでしょう。
なお、計量はスプーンではなく、できれば測り(スケール)を使いましょう。コーヒー豆は品種や焙煎度合いによって比重が結構異なりますので、メジャースプーンの「すりきり一杯で●●グラム」という表示と実際の重量がズレることも少なくありません。こうしたメジャースプーンは深煎りの豆(=比重が小さい)を想定して作られていることが多く、比重の大きい浅煎りの豆を使う場合は30%近くズレることもあります。
こうした豆による違いは実際に測ってみると良いですよ。お子様の自由研究に「品種・精製方法・焙煎度ごとのスペシャルティコーヒーの比重の違いについて」なんてテーマはいかがですか?僕が担任だったら飛び級で卒業させますね。コーヒー特進クラスって訳です。小学生がコーヒーに興味持つわけ無いですって?いやいや、私は小4の頃からブラックコーヒーを飲み続けているので、そんな事はないですよ。
ちなみに、豆を挽いたあとで微粉を除去する場合は計量する豆を多めにしておき、微粉を取り除いたあとで抽出に用いる豆の量を測りましょう。
ここで豆の香りや色合い、形状や膨らみ具合などを楽しみましょう。これもまた豆の状態で購入する醍醐味のひとつです。併せてお湯の準備も裏でしておきましょう。お湯は余裕を持って抽出量よりも多く沸かしておきましょう。(理由は後ほど。)
3: 豆を挽く
次に豆を挽きます。私は一日に何杯もコーヒーを飲むのですが、めんどくさがり屋でもあるため電動ミルを使っています。一方で手挽きミルで豆の硬さをダイレクトに手で感じたり、ミルを回している時間を感じながら挽くのもなかなか楽しいものです。
ここで大事なのは「挽き目(粒度)」です。挽き目はコーヒーの抽出効率は大きく左右するパラメタの一つです。エンジニアの方は「挽き目は流量制御と一緒」と覚えましょう。はい、とっても分かりやすいですね。(いや本当は違うけど)
従って、豆を挽く際も、計量時と同様に自分なりの基準を探ると良いでしょう。私の場合は、使っている電動ミル「BONMAC BM-250N」についている目盛りの4〜5の中間を基準にしています。(ミルによって加減が異なるので、お使いのミルの調整を色々試して頂くのが良いかと思います。)
上の写真は微粉を除去したあとのものですが、だいたいこの位の粒度を基準にしています。
ちなみに微粉の除去には茨城県に本社を構えるサザコーヒーさんの「パウダーコントロールストッカー」を使っています。茨城に友人が住んでいた関係でサザコーヒーさんの店舗には何度か行ってますが、とても素敵なお店です。また行きたい。
以前は、お菓子づくりでココアやシナモンを振りかける際に使うパウダー缶を使っていたのですが、口が小さく容量も少ないため不便でした。この微粉セパレーターを導入してから微粉の除去がだいぶ楽になりました。少し背が高すぎるので、願わくばミルの下に入るくらいの高さに収まってくれると理想的です。
4: ドリッパー&サーバーを用意する
抽出器具を準備します。今回はハンドドリップなのでドリッパーとサーバーを用意。ドリッパーは見た目もかわいいORIGAMIドリッパーを使ってみました。ドリッパーには様々な形状のものがありますが、単に見た目が違うだけではなく、お湯の流れや落ちる速度が計算されており、それぞれ特性が異なります。
ドリッパーはコーヒー器具の中でも価格が安いものからいろいろな種類が存在するため、ついつい集めてしまいがちです。「ドリッパー沼」にご注意。
5: フィルターをセットし「湯通し」をする
さて、もうお湯が沸いている頃でしょう。ドリッパーにフィルターをセットし、湯通しをします。フィルターを湯通しする理由については幾つか説が挙げられていますが・・・実は個人的にはあまり気にしていない部分ですので説明は割愛します。(興味ある方は調べてみてくださいませ。)
この工程、私の場合は「サーバーを温めるついで」くらいの気持ちでやっています。サーバーを温める理由は、温かい料理はできたてが一番美味しいのと同じで、コーヒーをなるべく温かい状態で提供するためです。コーヒーは温度変化に伴って味わいが変わり、それもまたコーヒーの魅力のひとつなのですが、あまりにも温度が下がってしまうと酸を感じやすくなり、美味しくなくなってしまいます。
エンジニアの方は「サーバーはホットスタンバイで」と覚えましょう。これ、弊社の入社試験に出ます。
同様の理由で、マグカップも温めておきます。前半でお湯を沸かす量は余裕を持つように書いたのは、この様にサーバーやマグカップを温めるのにもお湯を使うためです。
そうそう、この素敵なマグカップもFLATWHITE COFFEE FACOTRYさんのオリジナル商品です。ご購入はこちらからどうぞ。“LIFE IS TOO SHORT FOR BAD COFFEE”のロゴがカッコいいです。
6: お湯の温度の目安は88℃
これまた人や豆の種類などによって変わるのですが、私は抽出開始の時点でのお湯の温度として88℃を目安にしています。温度が高すぎるとエグみが出やすく過抽出の要因になり、低すぎると十分に抽出されない事に繋がります。ちなみに水温計がない場合は、お湯をポットに移し、3分ほど待つと良いでしょう。
この間にドリッパーのフィルターに粉をセットしておきましょう。
目安の温度まで下がったら、サーバーを温めていたお湯を捨てましょう。スケールの重量をゼロ合わせするのをお忘れなく。
さぁ、いよいよ抽出開始です。
7: 楽しい「蒸らし」工程
ドリッパーの中心部からゆっくりと円を描きながらお湯を注ぎはじめ、豆全体を蒸らします。お湯がフィルターに直接かからないように注意。「注ぐ」というよりも「ていねいに置く」イメージで、ドリッパー内にお湯をじわっと行き渡らせます。湯量は粉と同じ量を目安にしています。ドリッパーからサーバーに抽出液がほんの少しだけポタッと垂れるくらいを目安にしても良いでしょう。ドリッパーの底までお湯が行き渡っている目印になります。この状態で30秒間、豆を蒸らします。
中煎り〜深煎りの豆ですと、ガスの噴出によりモコモコとドームが膨らみます。この様子を見るのがたまらなく楽しいです。ここでまたコーヒーの香りを嗅ぎましょう。挽く前の豆とはまた異なる香りがする筈です。心地よすぎてトリップできます。これが私にとっての『合法的トビカタノススメ』です。
8: 抽出は淀みなく、ていねいに
蒸らしが終わったら測りの重量をゼロ合わせし、抽出開始。ゼロ合わせする理由は、蒸らしの時点で注いだお湯はほとんどがドリッパー内に留まっており、その重量は「抽出したコーヒーの量(≒サーバーに落ちた量)」としてカウントすべきではないためです。ここでもお湯は「ていねいに置く」イメージで注いでいきます。ゆっくりと500円玉大くらいの円を描きながら、ドームを壊さないようにお湯をコントロールします。
お湯を注ぐペースはドームを呼吸させるかのように何投かに分けて抽出する方法や、一定量で休むこと無く最後まで注ぎ続ける方法など幾つかありますが、最近は後者の方法を用いています。イメージとしては、ドリッパーからサーバーに抽出液(コーヒー)が落ちるのと同じペースで、ポットからドリッパーに注ぎ続けるイメージです。途中休めないので、変な力の使い方をしていると途中で腕が辛くなりますので注意。
9: 抽出時間は2分30秒〜3分が目安
抽出開始から2分30秒〜3分で目標の抽出量(今回は360ml)に到達するように湯量を制御します。もし3分を越えてしまう場合は、目標の抽出量に到達していなくても注湯を止めましょう。
このコントロールを毎回一定に保つのが難しく、私も結構ブレが生じます。それ故にここまでに書いてきた他のパラメタ(豆の量, 豆と湯の割合, 挽き目, 抽出開始時の温度, ドリッパーの種類 etc.)の基準を定めておくことで、注湯ペース起因のブレを体感しやすくし、精度向上につなげるのが大事なのかなと思っています。プログラムと一緒で、きちんと原因の切り分けを行えるようにしておかないとダメ、ということですね。
10: コーヒーが落ちきる前にドリッパーを外す
注湯を終えたらドリッパー内の抽出液が落ちきる前にサーバーから外します。抽出時にドーム部分に発生する泡には渋味・エグ味の原因となる微粉や薄皮があるとされており、そのエキスがサーバーに落ちてしまうと味に悪影響を与えると言われているためです。
これにも様々な意見があり「(●●に気をつけて抽出すれば)落としきっても問題ない」と唱えるバリスタの方もいらっしゃいます。正直私もブラインドテストをして当てられるような自信はこれっぽっちも無いのでどちらでも良いのかもしれません。
11: サーバーを軽く撹拌する
抽出を終えたらサーバーを軽く揺すって撹拌し、濃度を均一化します。美味しいコーヒーの完成です。
12: マグカップに注いで完成
マグカップを温めていたお湯を捨て、コーヒーを注ぎます。色んな事に気を遣いながら作ったコーヒーを注ぐこの瞬間は格別です。まるで苦労して組んだプログラムをサーバ環境にデプロイする、そんな緊張感とワクワク感に似たような感情さえ抱きます。
13: コーヒー豆のストーリーを感じながら至福のときを過ごす
ロースターによっては商品カードや袋の裏に、豆や農園に関する情報を記載しています。そうしたノートを読んで、農園の様子や海を渡って日本に届いた豆が焙煎される様子を思い浮かべたり、自分が感じたフレーバーとカッピングコメントを見比べながらコーヒーを飲むのも楽しいでしょう。インスタントコーヒーでは絶対に楽しめないプロセスです。
Eyes, JAPANは日本のIT企業でいちばん美味しいコーヒーを楽しめる会社です。
コーヒー好きなエンジニアのかたは是非一度、お越しください。
コーヒーのGalaxy(銀河)は無限大です。
最高に美味しい一杯を楽しみながら、最高の仕事をしましょう。