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求められているもの

narita

この記事は1年以上前に書かれたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。

東日本大地震発生から5日が立ちました。
各被災地では未だ混乱が続いており、いまこのときも、被災者の安否情報を求め、いたたまれない思いをしている人々が全国にどれだけいることでしょう。

昨日まで、私もその一人でした。
津波によって壊滅的被害を受けた宮城県気仙沼市に住む弟と、地震発生から四日が経っても、一向に連絡が取れず、現地の被害状況に鑑みて、半ば諦めてもいました。
幸いにして、昨日本人から実家に連絡があり、その無事を確認できたのですが、それまでの四日間は、本当に気が気ではありません。
何でもよいから彼の消息に関する情報が得られないものかと、寸暇を惜しんで情報収集を試みていました。

その際、速報性に優れるメディアとしてテレビに大きく頼っていたのですが、時間が経つにつれて、私はその災害情報の報道の在り方に大きな苛立ちを感じ始めました。
というのも、テレビがそれを観ている多くの人が真に求めているであろう情報、即ち冒頭でも述べた、被災者の安否情報を伝えることについて、とても消極的だからです。

地震発生から数日が過ぎても、繰り返し流される津波の映像。
避難所からの生中継で、画面の中央に立ってコメントを述べるレポータ。
大映しにされる炊き出しの鍋や、充電中の携帯電話…。
そんな情報は、正直なところ、誰も求めてはいないのです。
その手にしたカメラで撮るべきは、一人でも多くの避難者の姿、一枚でも多くの避難者名簿ではないのか。
また、NHKなどでは安否情報をアナウンサが読み上げているのですが、そのやり方では時間当たりに伝達できる情報量はごく僅かなものにならざるを得ません。
その情報をテキストデータとしてウェブサイトに掲載すれば、より多くの人が、より効率良くアクセスできるはずなのに……と歯噛みする思いでした。

そうした点では、インターネットを使った情報共有サービスには、本当にそれを必要とされる人の手によるものであるということもあり、情報の質, 量, 検索性などの特性において、マスメディアにはない大きなアドバンテージがあります。

Google Person Finder (消息情報) 2011 日本地震
http://japan.person-finder.appspot.com/
人の氏名 (あるいはその一部) を入力して、安否情報を確認・提供することができます。
Picasa ウェブ アルバム
http://goo.gl/ganbare
避難所に貼り出されている避難者の名簿の写真が大量に共有されています。
有志によるテキスト起こしの作業も平行して進行中。

上に紹介したもの以外にも、Twitter や個人ブログなどによる被災者の安否情報の共有が進められており、人々が情報収集を行ううえで、大きな助けとなっています。
弟の場合はこうしたウェブサービスではなく、電話によって生存確認ができたのですが、Google Person Finder を使って情報提供を求めていた彼の友人たちに連絡を取って、無事を知らせてあげることができました。

このことから得られる教訓は、私たちのこれからの仕事に対しても適用可能です。
求められているものは何か?
そうしたニーズを的確に把握し、それを迅速に・効率よく提供するための手段を講じること。
あるいは、人々がそれを得るためにどのようなサポートが可能かを考えるために知恵を絞ること。
そうした姿勢の大切さを改めて、そして痛切に再認識させられました。

最後になりましたが、今回の震災で亡なくなられた方を悼むとともに、未だ安否不明な方々の無事を祈ります。
みんな、どうか無事でありますように。

成田

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