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みなさんは「人工知能」または「AI」に対し、どのようなイメージを持っているでしょうか。
映画やマンガなどで出てくるような、人と同じように考え、自律して行動するようなものを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
しかし、現在作られている人工知能は人間が持つような知性を持っているとは言えず、限定されたタスクをある程度の精度で処理することしかできません。
では、将来的に人間と同じように思考できる人工知能が作られることはあるのでしょうか。
実はこの問いに対する科学者・研究者たちの意見は様々です。
近い将来にできるという楽観的な人から、永遠にできないという人までいます。
かくいう私は、200 年後くらいにはできているかもしれない、という考えを持っています。
近年の技術の進歩の速度からして、200年後とは悲観的過ぎないか、との意見もあるかもしれませんが、そう考える理由として、人工知能にとってやっかいな問題であるフレーム問題があります。
現実世界で起こりうる無数の事象から、人工知能にとって有用なものを抽出するのには無限の時間がかかる、というものです。
フィルタを使えばいいのでは、という意見もあるかと思いますが、フィルタが無数にありうるので、フィルタの選択で同様に無限の時間がかかります。
これが、現在のコンピュータ上で作られる人工知能が、絶対に超えられない壁だと思います。
ところが、人間はそのようなフレーム問題に陥ることはありません。
なぜフレーム問題に陥らないか、というと、これも意見が分かれるところですが、私は脳の情報処理モデル上にはそもそもフレーム問題が存在しないのではないか、と考えています。
言い換えると、フレーム問題は現在のコンピュータのようなチューリングマシンを含むクラスにのみ存在していて、脳はそのクラスの外にあるのではないか、ということです。
つまり、人間の脳はチューリング等価ではないため、チューリングマシン上でいくら頑張って人工知能を作っても、人間の脳をシミュレートできないと考えています。
よって、チューリングマシンとはまた違った情報処理のモデルが必要そうで、それの発見に 100年、そのモデルに関する研究が進み、実際にできるのにさらに 100 年くらいかかるのでは、と考えています。
担当: 齋藤 (ネットワーク上に生じる非局所的な性質がキーな気がするけど、チューリングマシンのネットワークはダメなのだろうか?)
この記事を見て、クラークの三法則を思い出しました。
1. 高名だが年配の科学者が可能であると言った場合、その主張はほぼ間違いない。また不可能であると言った場合には、その主張はまず間違っている。
2. 可能性の限界を測る唯一の方法は、不可能であるとされることまでやってみることである。
3. 充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない。
個人的には200年というのは、かなり悲観的な予測だと思います。以前、SIGGRAPHでRay Kurzweilのキーノートを聞いてからシンギュラリティーという考え方に非常に関心を持ちました。彼らによれば、遅くても40年以内という事なので80歳前には死にたくないですね。若い皆さんがうらやましい。ああ本当にうらやましい。
(参考)■コンピューターが人間を超える日、「シンギュラリティー」は起こるのか
~米シリコンバレーで会議開催、インテルやIBMなどが研究内容を紹介
http://robot.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/10/30/1410.html
山寺