国際化という言葉が声高に叫ばれる時代をとっくの昔に通り越したこの2011年になっても、未だに多くの日本人を個人的な鎖国政策に向けさせている原動力があるのだとしたら、それはやはり英語に違いありません。
とかく日本人は英語が苦手です。同じように非ネイティブであるにもかかわらず流暢に英語を使いこなすフレデリックやサーシャを見ていると、ゲルマン民族と大和民族の――あるいは大和民族と他の全ての民族の――間には、どうしても越えられない何らかの壁があるのではないかとさえ思ってしまいます。
さて、そんな英語アレルギーの日本人がどうしても英文を読み書きしなければならないとき、彼らが真っ先に頼るものといえば、機械翻訳ではないでしょうか。
辞書を引きつつ文法をググりつつアルファベットの羅列と格闘することに比べれば、エキサイト翻訳などのサービスは、「文章を打ち込んでボタンを押すだけ」という驚異的に簡単な方法で翻訳をしてくれます。
機械翻訳は、まさに悩める日本人に差し伸べられた愛の手なのです。
しかしながら私は、少なくとも実用的な目的では、全くと言っていいほど機械翻訳を使いません。
機械翻訳は自分自身で翻訳するより不正確だと思っているからです。私が初めて機械翻訳を使ったとき、それは「日本語 -> 英語 -> 日本語」と変換して奇妙な日本語が生み出されるのを見て笑う程度のおもちゃに過ぎませんでした。
もう10年も前のことになるでしょうか。
あれから長い時間が経ちました。そろそろ機械翻訳の精度も十分実用に耐えるレベルに達したのではないか。
先日エキサイト翻訳を使っている友人を見かけた際に尋ねてみたところ、「まだ精度がよくない」との答えが返ってきました。やっぱりそんなものか、と最初は思ったのですが、どうやら彼を見ていると、機械翻訳の精度が悪いのは機械翻訳のせいだけではないように思われたのです。
つまり、翻訳がうまくいかない理由のひとつは、翻訳しようとしている和文が既に文法上の誤りを含んでいるためではないかと思うのです。
読みにくい文章のお手本であるこちらのエントリからいくつか例を借りてエキサイト翻訳にかけてみると、
- 原文: 私は、主語と述語はいつも一致しなければならないという事は大切です。
- 英訳: My thing that the subject and the predicate should always be corresponding is important.
- 再訳: 対象と述部がいつも対応しているべきであるという私のものは重要です。
- 原文:
言葉を正しく使い、無頓着の表現がならないようでしましょう。
- 英訳: It uses words accurately, and a careless expression doesn’t become it.
- 再訳: それは言葉を正しく使います、そして、不注意な表現はそれになりません。
このように、頓珍漢な文章が表示されます。
厳密に文法に則った文章でさえ、機械翻訳することは簡単ではないのです。
ましてや不適切な文章などは適切に翻訳されなくて当然ですし、そのことを嘆いたり不満を感じたりする暇があるのなら、翻訳されやすいように文章を書き直す方が建設的です。
ところで、結局今の機械翻訳の精度はいかほどなのでしょうか。
文法と読みやすさに気を配って書いた、私の先日のエントリを読ませてみました。
それにしてもいい時代になったものです。
ニュース・天気予報・ゲーム・チャット・メール・文書作成・その他ありとあらゆるサービスが、Web上で無料で提供されているのですから。
However, it is what became a good age.
Because it is besides news, the weather forecast, the game chat E-mail, and the document creation and all services are being provided free of charge on the Web.
ハッシュタグは誰にでも使える物ですので、あらかじめ既に使用されていないか調査する、他のユーザと被りにくいような文字列をタグにする、もしくはそもそもそんな不確実性のあるサービスは利用しない、などの対処をする必要があったということでしょう。
To begin with, be to have had to make the character string not received easily with other users tag or, investigated whether to have already been used, such service of the uncertainty to deal no use etc. because the hush tag was a thing that everyone was able to use.
俄かには信じがたい高精度です。
確かに「被る (かぶる = 重複する)」と「被る (こうむる = 被害を受ける = receive?)」を取り違えていると思しき箇所も見受けられますが、これだけ長い文章にもかかわらず、自然に読める英文が出力されています。
“To begin with …” や “such service of the uncertainty to deal no use …” のくだりなどは、私の英訳よりもずっと洒落ていると言わざるを得ません。
エキサイト翻訳の中の人はすごい。
さて、トピックは違うものの、今日も前回のエントリと同じ結論に辿り着きます。
提供されるサービスを正しく理解し、最大の効果を上げられるような使い方をすることは、ユーザの義務であり責任であると言えるでしょう。