イベントレポート
デザイン思考で留学生の貧困について考える(日本語版)
Tes
<はじめに>
みなさん、こんにちは!ベンアブダラテスニムです。
私は高校生で、今までさまざまな活動を行ってきました。高校2年次の時にスタンフォード大学主催のデザイン思考プログラムに夏休みの約1ヶ月間参加しました。このプログラムに参加するまではデザイン思考という言葉すら聞いたことがありませんでした。しかし、このプログラムに参加してデザイン思考という考え方を身につけ現在もさまざまな場面で活用しています。
いつか自分でデザイン思考を使ってワークショップを主催したいという目標がありました。そんな時にEyes , JAPANでワークショップを主催する機会をいただいて今回のワークショップを主催することになりました。
<ワークショップの概要>
2023年3月9日にEyes, JAPANのメンバーに向けたサービスデザインワークショップを開催しました。
このワークショップでは、Eyes, JAPANで働いている社員やインターンシップ生を対象にサービスデザインという考え方を使って「留学生の貧困」について考えました。
本記事ではワークショップの概要をレポートとして書きたいと思います。
<ワークショップについて>
今回のワークショップでは『どうすればうまく合意形成が取れるか』というテーマのもと、サービスデザインという考え方で留学生の貧困について考えました。
さらに今回は他のワークショップとは一風違う形で行い、参加者をEyes, JAPANの社員限定にし、初めてオンラインという形で行いました。
日時:2023年3月9日(木) 18:30〜19:30
会場:Eyes, JAPAN本社
参加対象者:Eyes, JAPANの社員 22名
<Eyes, JAPANと留学生の関係性について>
今回のワークショップの会場となったEyes, JAPANでは、外国籍の社員が多くいます。
以下のグラフからわかるように、赤の円グラフ(日本)以外は世界各国15か国から集まってきている社員になります。Eyes, JAPANでは、約85%の外国籍の社員が働いています。
会社ではほとんどの社員が主に英語を話し、それぞれの個性を持ってさまざまな文化に触れることができるので、とても賑やかな毎日を送ることができます。
<ワークショップの目的>
今回のワークショップをEyes, JAPANの社員限定にして行った目的として、Eyes, JAPANの社員の80%以上を外国籍の人が締めるからです。その中でも会津大学に在学している生徒やPhDの生徒などが多数います。日本人も含めさまざまな国出身の人達が一ヶ所に集まる機会がなかなかないと思い、今回Eyes, JAPANの社員限定にして開催しました。さらに、大学在学中に奨学金を使っていた社員はどれぐらいいるのかという私の疑問から「留学生の貧困」という問題にフォーカスして、デザイン思考で考えるというワークショップを開催するに至りました。
<ワークショップの内容>
今回のテーマは、 SDGsの目標の1番の「貧困をなくそう」についてでした。しかし、貧困と言っても貧困にはさまざまな種類があります。非常に大きいテーマでもあり抽象的なのでより具体的な問題に落とし込んで考えていこうと思いました。そこで、せっかくEyes, JAPANでワークショップをやるということなので、参加者にとって身近な内容の方が話しやすいのではないかと考え、「留学生の貧困」というテーマでワークショップをやることにしました。
<当日のワークショップの流れ>
まず初めに参加者を4つのチームに分けて、Jamboardを使ったアイスブレイクをやりました。自己紹介として名前と年齢、よく使う絵文字、もし無人島に一つだけ何か物を持っていくとしたら何を持っていくかという4つの質問を投げかけて、チームでJamboaredの付箋を使って書きました。参加者の多くが初めてJamboaredを使っていたので操作が少し難しかったです。最初でも述べたように以前スタンフォード大学主催のプログラムに参加したときにJamboaredを使ってとても便利だったので、自分のワークショップでも使うことにしました。
Jamboardについて→ https://edu.google.com/intl/ALL_jp/jamboard/
アイスブレイクが終わり、デイスカッションに入る前に私は短いプレゼンテーションを行いました。日本の留学生の現状や冒頭に記したように、Eyes, JAPANにいる外国籍の社員の中での奨学金を使っている割合などを示しながらプレゼンしました。社員の中には大学で留学生としいて日本に来ていた生徒がいると思っていたので、実際にアンケートをとって割合を確かめてみることにしました。
以下が今回の参加者の奨学金を使っていた割合になります。
次に、チームの各メンバーである国の外交官だと仮定して、国の代表として「留学生の貧困」にはどのような問題があるかをブレイクアウトルームに別れて5分間で話し合いました。ここでも上記のように一人一つは意見を出すということを意識してもらいながらやりました。
また、今回のワークショップの一番のキーポイントは、時間が制限されている中でどれだけ意見を出せるかというところでした。このようにアイスブレイクと同様各チームに別れてJamboardの付箋で「留学生の貧困」の問題をたくさん出してもらいました。
<チームでのデイスカッションの様子>
Team1
Team2
このように4チームに分かれて2回デイスカッションをしてから最後に各チーム3分間で解決案についてプレゼンしてもらいました。それぞれのチームのリーダーが意見を1つにまとめて発表をしてもらいました。制限時間の中で意見をまとめるというのは非常に難しいことでしたが、今回のワークショップに限らずさまざまな場面で意見をコンパクトにまとめるという能力が求められると思います。今回のワークショップの参加者に少しでもデザイン思考での問題の解決方法を知っていただけたらいいです。
<これからの課題について>
今回のワークショップでは、主に「留学生の貧困」についてディスカッションをしました。その中での反省点としては「貧困をなくそう」という SDGsのテーマに焦点をおいて、さらに具体的に「留学生の貧困」についてデイスカションをしてきましたが、やはり短い時間で考えるのにはテーマが大きすぎました。
以下では参加者の留学生の貧困についての解決案をいくつか紹介します。
<参加者が考えた解決策>
・留学生の就労をもっと幅広く許可する
・アルバイトをもっと与える
・国が独自の言語を話す場合、大学を始める前に言語学習を提供する
・さまざまな情報へのアクセスを留学生にとってより理解しやすくする
・授業料は100%償還する必要がある
・留学生のアルバイト制限の簡素化
<ワークショップをやってみての反省点>
今回のワークショップは対面でもできましたが、あえてオンライン上で行いました。私が以前参加したときもコロナ禍真っ只中だったのでオンライン上で行いました。しかし、今回のワークショップではいくつか設備的問題が発生したのでこれからこのワークショップを参考する方にいくつか設備的な注意点とポイントを紹介します。
・インターネット環境を整える(主催者はもちろんのこと参加者側の設備も事前にチェックするのをおすすめします)
・ブレイクアウトルームでのミュート設定(各チームごとに分かれて1人が話すときは他の人はミュートにする)
・時間調整(制限時間を設けているときは自動的に全体ルームに戻れるように設定しておく)
<最後に>
今回このワークショップを主催したことで、新たにサービスデザインを使って合意形成を行うことは可能だとわかりました。サービスデザインは、顧客やステークホルダーのニーズを理解するための手法でもあり、また、合意形成に必要な情報を収集することもできます。
まず、合意形成の対象となる問題や課題を明確にし、関係者を特定して、サービスデザインの手法を使用して、関係者のニーズや要求を理解するための調査やインタビューを行います。また、ユーザー体験マップやプロセスフロー図を作成して、問題の原因や改善策を可視化することができます。さらに、これらの手法を使用して関係者間で合意形成を行うこともできます。関係者は、データや情報に基づいて意見を交換し、問題解決のための共通の目標を定めます。
サービスデザインを使って合意形成を行うことで、関係者間のコミュニケーションを促進し、共通の理解を深めることができると思います。これにより、問題解決のための効果的なアプローチを見出すことができ、より良いサービス提供につながる可能性があると考えています。今回のように1回だけワークショップを開催してスムーズに解決案が出るわけではありません。しかし、サービスデザインという手段を使ってさまざまな問題を考えていくことには意味があると思います。
今回のワークショップでは1時間という限られた時間の中で行いましたが、2回3回とワークショップを続けて考えていく中でだんだんと解決案が見えてくるのではないかと思いました。
サービスデザインは、顧客との接点や顧客のニーズを理解し、サービスを提供するためのビジネスモデルやプロセス、システム、人材などを統合的に設計することで、より良い顧客体験を実現します。
これから積極的にサービスデザインという考え方を使ってもっとアップグレードして問題解決に挑んでいきたいと思います。
この記事を読んだみなさんもぜひデザイン思考についてもっと知識を深めて、さまざまな問題を考える一つの手段として使って欲しいなと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました!